「スケボーを買ってみた。でも、乗り方がわからないし、そもそも前に進まない……。」
そんな壁にぶつかっているあなたへ。安心してください、僕も最初はそうでした。
僕は元プロスノーボーダーとして、人生の多くを板の上で過ごしてきました。雪山で培った「板を操る感覚」には自信がありましたが、22歳でスケートボードを始めた時は、アスファルトの上で静止する板の扱いに「これ、スノボより難しいんじゃないか?」と驚いたものです。
しかし、10年スケボーを続けてわかったことがあります。それは、「チクタク」こそが、ただの板を「自分の足」に変えるための最初の、そして最大の魔法であるということです。
チクタクは単なる移動手段ではありません。オーリーやキックフリップといった派手なトリックに繋がる、重心移動のすべてが詰まった「心臓部」です。この記事では、僕の横乗り人生の知見を詰め込み、最短最速でチクタクをマスターするコツを徹底解説します。
1. チクタクとは? なぜ「最強の基礎」と言われるのか
チクタク(Tick-Tack)とは、ボードのノーズ(前側)を左右に交互に振ることで、地面を蹴らずに推進力を得る技術のことです。時計の針がリズムを刻む音に似ていることから、そう呼ばれています。
なぜ、初心者が真っ先にこれを覚えるべきなのか。理由は明確です。
- 「板を浮かせる」感覚が身につく:後ろ足でテールを叩き、前輪を浮かせる感覚は、すべてのジャンプ技の土台になります。
- 重心移動の基礎が詰まっている:上半身のひねりを下半身に伝える「連動性」が学べます。
- 自由自在な方向転換が可能になる:パークでの狭い場所や、障害物を避ける時に不可欠です。
チクタクができないと、スケボーの本当の楽しさの入り口に立てません。逆に言えば、これさえ習得すれば、あなたの世界は一気に広がります。
2. 失敗しないための「黄金スタンス」をマスターする
まずは板に乗る位置を確認しましょう。ここが間違っていると、どんなに練習してもノーズは上がりません。
前足:フロントトラックの「ビス」を潰す
前足は、前側のトラックを固定している4本のネジ(ビス)をちょうど隠すような位置に置きます。板の真ん中から少し前寄りです。
後ろ足:テールの「反り返り」に置く
ここが最重要ポイントです。後ろ足はトラックの上ではなく、テールの反り返っている部分(キック)に置きます。
【すなお’s Point】 なぜテールに置くのか? それは物理の「テコの原理」を使うためです。トラックより後ろを踏まないと、ノーズは物理的に上がらないからです。この「支点」を意識するだけで、成功率は劇的に上がります。
3. 【ステップ別】チクタク習得へのロードマップ
理屈がわかったら、いよいよ実践です。最初から進もうとせず、安全を確保しながら一つずつ階段を登りましょう。
ステップ1:膝を曲げ、手を広げる(安全の最優先)
板を浮かせる前に、まずは姿勢を固めます。チクタクの練習はステップ1から少なからず危険を伴うので、この姿勢は絶対に守ってください。
- 膝を曲げる理由:重心を低くすることで安定感が増します。また、不意な挙動へのクッションになります。
- 手を広げる理由:バランスを取るためだけではありません。もしバランスを崩しても、すぐに手をつけるようにしておくための「リスクヘッジ」です。
僕は仕事でも育児でも「攻めの姿勢」を大切にしていますが、それは「守り(安全)」が固まってこそ成立するものです。
ステップ2:ノーズを「浮かす」感覚を掴む
ステップ1の姿勢を保ったまま、後ろ足にグッと体重をかけ、ノーズを数センチ浮かせてみましょう。この時、テールの端が地面についても大丈夫です。まずは「板を傾ける感覚」と「バランスを保つ感覚」を体に覚えさせてください。
ステップ3:5度から始める「左右の振り」
ノーズを浮かせたら、まずは左へ5度、右へ5度と、ごくわずかに振ってみましょう。この段階ではまだ進まなくていいです。まずは「自分の意思で前輪の着地地点を変える」練習に集中してください。
ステップ4:30度の壁を越えれば、勝手に進み出す
振る角度を徐々に広げ、左右30度くらいまで振れるようになると、不思議なことに板がジワジワと前に動き出します。これがチクタクの産声です。
4. 推進力を2倍にする「リズム」と「ひねり」の極意
「形はできているのに進まない」という人は、力任せに振っていることが多いです。チクタクを加速させる鍵は、筋力ではなく「リズム」と「上半身」にあります。
「トントントン」という軽快なリズム
チクタクは筋トレではありません。軽やかなリズムが重要です。 「前輪を浮かせる(トン)→横にずらして着地(トン)」 この一連の動作をリズミカルに繰り返すことで、効率よく推進力が生まれます。
上半身の「ひねり」でリードする
板を足だけで動かそうとしてはいけません。
- まず、行きたい方向に肩(上半身)をひねる。
- 遅れて腰と足がついてくる。
- 最後に板がその方向にスライドする。
この「上半身が先行し、下半身が追随する」感覚。これはスノーボードでも共通する非常に重要なポイントです。
中級者への道:重心移動の応用
慣れてきたら、自転車でカーブを曲がる時のように、行きたい方向へ少し体を傾けてみてください。重力の力を借りることで、チクタクのスピードは爆発的に上がります。
5. まとめ:チクタクはスケボーとの「対話」だ
チクタクは、スケートボードという相棒と対話するための最初の言葉です。
最初は進まなくてイライラするかもしれません。でも、自転車に乗れるようになった時のことを思い出してください。一度感覚を掴んでしまえば、一生忘れることはありません。
僕は現在32歳。2025年に息子が生まれ、仕事と育児、そしてブログ運営と、毎日を全力で駆け抜けています。
忙しい日々の中でもスケボーを続けているのは、こうした「できなかったことができるようになる瞬間」が、人生を豊かにしてくれると知っているからです。
「安全に、でも心は熱く攻める。」
このスタンスで、一緒にスケボーライフを楽しんでいきましょう。今日チクタクができるようになれば、明日はパークの景色が違って見えるはずです。


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